<アイドルとライブ>②「『やりたいことはまだまだある』風雲児の存在意義」ギュウゾウ、田中友二、杉山祐樹(ギュウ農フェス)インタビュー

文責:上岡磨奈(慶應義塾大学大学院社会学研究科)
オンラインインタビュー:2020年5月9日(インタビューの後、メールにて内容補足のため加筆)

アイドルが出演するライブはほとんどの場合、対バンライブと呼ばれる複数のアーティストが出演する形式のものであることが多い。広い会場に多くのアーティストが一堂に会する、また複数のステージで同時多発的にライブが行われる大型対バンやフェス型対バンも定番になっている。

その一つ、ギュウ農フェスは2015年にスタートした電撃ネットワーク・ギュウゾウ氏が手がける人気フェスだ。数千人規模のイベントも行うが、その母体はギュウゾウ氏を含め、アイドル文化に魅了された3名で運営されている。

4月4、5日に予定されていた「ギュウ農フェス春のSP2020〜5th anniversary 2days~」は「無期限延期」を決めたものの、同5日にはニコニコ生放送を使って約8時間の無観客ライブ配信を行い、通常通りかそれを上回る迫力の演出でオンラインの数万人の「観客」を盛り上げた(一部無料公開)。

「文化を止めちゃって誰も人がいなくなっちゃったら寂しいし。アイドル冬の時代とか、簡単に人がいなくなった」と語るギュウゾウ氏に、パフォーマーとして自身の仕事もキャンセルが相次ぐという状況の中、出演者の目線も含め、新型コロナウイルスの影響とそれに「対抗」するための湧き出るアイデアを、同じくギュウ農フェスを運営する田中友二氏、杉山祐樹氏とともに語ってもらった。
(インタビューの後、質問項目に対する補足のための加筆、再回答を受けて本稿の構成を行った。)

動員見込みは6000人

■コロナ禍の影響を受けて延期や中止となった主催のイベント数についてお話を伺います。

ギュウゾウ:開催したイベントについては、平時だったら完売してるだろうな、とか、もっとチケットが売れてただろうな、というのはありましたね。例をあげますと…3月22日(「ギュウ農フェス春のSPプレイベント最終号」)は、(新型コロナウイルス流行の)影響下にありました。
この日のイベントを中止して4月4日、5日に集中しようかという協議をスタッフ内で重ねた上で、22日はできる範囲の中で、会場、来客の皆さん、出演者さん達への消毒を徹底しつつ開催しました。このイベントは盛り上がりましたが完売しなかったですね。延期になったイベントは4月4、5日の2days公演です。

■予定されていた合計最大観客数はどれくらいでしょう。

ギュウゾウ:見込みですが…田中さん、どれくらい来ると思いました?
田中:6000とか…
ギュウゾウ:杉山さんは?
杉山:まあ6000じゃないですかね。やっぱり。
ギュウゾウ:僕も5000はないな、6000は行くと思ってましたね。

■出演者も大変豪華でした。チケットは全て払い戻しでしょうか。

ギュウゾウ:他のイベントさんは延期ということで(チケットを)持っといてくださいというのもありましたけど、僕らは2daysだし同じ顔ぶれになることは難しかったんで、全て払い戻しという形にしました。

■売れ行き状況はいかがでしたか。チケットの種類も多いので難しいと思いますが(筆者註*先行チケットは全6種類)。

ギュウゾウ:あっごめんなさい。4月25日の宇都宮(「ギュウ農フェス 5th anniversary in 宇都宮」)もありました。あまりにもバタバタしてうっかりしました、すいません。こちらは延期です。
杉山:チケットは出してないんですけど。
ギュウゾウ:新型コロナウイルスの流行が収束しそうにないので、発売前に売るのを止めたんですよ。1枚も売ってない。4月4、5日は、VIPルーム(Vチケット)が完売近くまで売れてましたね。Tシャツ付きも結構売れていました。1階フロアチケットは、最前(列)に行きたいという人以外は結構のんびり買うものなので…。

■まだ買っていない人もいたかと。当日券という可能性もあったでしょうか。

ギュウゾウ:感染拡大が止まらなかったので、それも選択肢に入っていたと思います。売り切れが予想されてたVIP席はリピーターの方でほぼ埋まっていましたが。

■そのような状況の中でイベントの損害状況、補償については。

ギュウゾウ:早い段階では、中止の時のキャンセル料は契約書通りお支払いする流れで進んでいました。でも、騒動が大きくなってからは、イベンターさんによって変わるとは思うんですけど、キャンセル料を全額払ってくださいっていう状況ではなくなってきました。大概の方は、延期っていう形でスライドだったり、(補償について)負担を半々という打診があったり。

でも僕らは2daysだったから、やっぱり土日を取るというのはなかなか難しいという僕の判断もあって…土曜日分は延期に、日曜日分は照明さん、音響さん、スタッフさんのスケジュールを押さえていたのもあり、無観客配信イベントとして実施しました。それと、僕自身も出演する側でもあるから、演者がステージに上がりたい、ライブやりたいっていう気持ちも理解していたので。加えて、僕は文化の動きを止めるべきじゃないというスタンスですし。

■スタッフさんも多かったんですか?

杉山:音響、照明とニコ生(ライブ配信)とかも考えると30人前後ですかね。

■それも含めてかなりの費用が…

杉山:それなりにはかかってはいますけど、相当抑えているというか、(配信の日は)メインステージだけになったのでその会場費と配信費用で。そういう意味では少なく済んでる…そこに音響照明が別途という。
田中:今回の分がなくなってる。チケットを売ってその分がないという。要は売り上げがない。でも固定費とかがないからその分は楽なんじゃないかなと思ってるんです。

■そこの違いは大きいですよね。

田中:ライブハウスさんの話とか本当に深刻だなと。何もやらなくても出て行ってしまうっていう…。
杉山:経済活動が再開しても、ライブハウスが再開するのはいつだって話ですからね。
田中:ライブハウスさんの話を聞いていたりネットで見るだけでも気持ちがブルーになりますよね。イベントを打つ側の方がまだ気が楽なんじゃないかって思いますよね。
ギュウゾウ:中止、延期を発表してすぐに無観客(ライブ)をやるって発表したんですが、え、やるの?って皆さん割と驚かれてました。マネタイズ的に考えるとやらない方が良かったかもしてないですが、アイドル文化を止めたくなかったっていうのと、大規模イベント実施はこれから苦しくなると思ってたから、業界内で少しでもお金が動いた方がいいとは思いました。

「ワクワクするものを」未来への投資としての無観客ライブ

ギュウゾウ:予算繰りに関しては、杉山さん、田中さんの方から数字を出してもらって、そこに僕らが耐えられる最大の赤字額を想定して進めました。
自宅で他のイベントがやってる無観客ライブの配信を観ていて余りワクワクしなかったので、ここはちょっと普通じゃないくらいの照明と音響でやるべきだなって思いつつ。ここは赤字を恐れず振り切った演出でイベントを実施しないとファンにワクワクしてもらえないぞと。過剰演出くらいにやんなきゃダメだと思っていました。

■レーザーやオクタゴンスピーカーの使用と迫力のステージでした。「投資」としてのこだわりだったんでしょうか。

ギュウゾウ:企業さんだと、こういうことはなかなか難しいと思うんですよ、開催は赤字前提だったし。だけど僕たちはインディーだから、こういう時にワクワクするものを作っていかなければいけないと思うし、それが次への期待を生むと信じてました。イベントが動き始めたら赤字なんて絶対に回収できるはずだ、これは未来への投資なんだという変な自信もありました。

■除菌等の対策も「出演者・スタッフ間のソーシャルディスタンス」、「手洗い、うがい」「定期的な消毒と場内換気」、「マスク着用の意識徹底」、また視聴者の「会場付近への立ち寄り絶対禁止」厳守など楽屋の利用も含めて徹底されていました(*ギュウ農フェスTwitterより)。

ギュウゾウ:完璧な消毒を実行することは無理なのでしょうが、たまたま詳しい方がいたので、その中でできることはやれたかなと思います。どうしても手に入らない物資もありましたけど、出演者の方が消毒用具を持ってきてくれたりしてなんとか何事もなく終えることができました。
1番ホッとしてるのは、2週間あけてクラスター感染が起こらなかったことです。感染を心配してるファンの方もいましたし、演者のご父兄も心配だったでしょうし。もちろん100%の安全実現は無理なのですが、100%に近づける努力をしないというのは不誠実だと思うので、一所懸命やりました。

■ギュウ農フェスでは飲食を含めたワゴンの出店も目玉です。それらもキャンセルされたんでしょうか。

ギュウゾウ:フードコートのワゴンは基本的にキャンセルとしました。食事から感染が出るのも怖かったので。ただ、長丁場のイベントなので(ギュウ農フェス註*スタッフは約12時間拘束)出演者さんやスタッフさんの食事を用意しなくてはならず、予算も余りなかったので困っていたんです。
その中で、キッチンカー出店で長い実績がある『バリ食堂』さんが、「ギュウ農フェスは大好きなイベントなんで無償で100食提供しますよ」と言ってくれたので、そこは甘えました。食事提供の安全も確保できましたし本当に有難かったです。そしてめっちゃ美味しかったです。助けていただきました。
助けられたといえば、他にも、ニコ生さんのギフト(視聴者からの投げ銭)、それからサイリウムを1000円で売ったんですよ(筆者註*配信会場の装飾用とイベント支援のためのサイリウムをネット販売した)。あれが1000本売れたので、それで助けてもらいました。サイリウム販売では正直いろんな批判やアドバイスもいただきましたけど、収支的にはずいぶん助かりました。

■サイリウムについてはまだ販売中ですね。

ギュウゾウ:仮想サイリウムでもいいはずなんだけど、僕的に実物があった方がいいと思って2000本以上を自分で買ってきました。ですので、売れ残りが家に山積みなんですよ(笑)。やっぱり本物があって折ったら光る方が楽しいじゃないですか。そういうのは僕の好みだけかもしれないけど。

■5月6日にニコ生で配信された「ギュウ農無観客配信フェス番外編」では、購入した分のサイリウムがイベントの出演者にも還元されるとのことでした。

ギュウゾウ:アイドル文化が好きだし、アイドルさん、アイドルの運営さん、今絶対収入が減ってるから、焼け石に水かもしれないけど、これが売れれば少しは入ってくるというのは励みにもなるんじゃないかなと。あとイベントに対してというよりも(出演者)本人を直接応援したいというファンの声もあったので、(事務所には)数字を報告しようと思っています。ツイートや配信でサイリウムやカワイイ(*ニコニコ生放送の「ギフト」)を集めてくれた出演者さんもいるので、そこには還元されるべきだと思いますし。小さなことでも励みになったらいいなという部分があります。

■4月5日のライブ配信でも、ステージの熱でサイリウムやギフトも勢いづいていったのが印象的でした。

ギュウゾウ:(配信終了後の番組アンケートで)「いいイベントだった」に90何%っていう数字が出て、本当か?って思ったけど(笑)、嬉しかったです。
田中:サイリウムは未だに買ってくださる方がいるんですよ。配信自体は終わってるんですけど、タイムシフト視聴とかで見て「あのメンバーさんに」と結構まとめて買ってくださる、支援してくださる方がいらっしゃいます。
ギュウゾウ:ありがたいです。

「武器」をたくさん持っておきたい

■ニコ生特有の「弾幕」(*多数のコメントが画面上に表示される様)がアイドル現場の空気感を再現しているように見えて胸が熱くなりましたね。

ギュウゾウ:弾幕は熱かった!最近は皆さんあんまり使わなくなったツールという声もありましたけど、配信の中でファン同士の会話があったり、良いパフォーマンスにはどんどんコメント投稿が増えていく様子とか、アイドル現場の掛け合いやコールの嵐みたいな雰囲気が生まれていました。ニコ生さんでの無観客配信に大きな可能性を感じました。
僕らはニコ生さんとどんどん良いお付き合いをしていきたいと思っているのですが、一か所に集中して委ねるのは僕が好きじゃないから、ニコ生だけではなくYouTubeも使っています。それといま話題の「ZAIKO」や「OFUSE」も試してみたいですね。場面場面で合うシステムがきっとあるはずだし。
田中:ニコ生さん、現場があった頃はもう終わり?みたいな雰囲気あったけど、こういう感覚の楽しさが改めてわかった。YouTubeライブだとこの前みたいな雰囲気絶対でない。その辺は使い分けが明確になってきた。
ギュウゾウ:ニコ生の楽しさは、もっともっと再確認されてもいいですよね。
田中:YouTubeライブのいいところもいっぱいあるんですけどグレードが高いイメージになっちゃった。
ギュウゾウ:ニコ生はライブの雰囲気が出るしね。ニコファーレ(*ドワンゴが運営していたイベント会場)みたいに後や横にあるスクリーンを活用できる会場での開催も面白そうだなあと思いました。

■YouTubeは現在チャンネル4000時間視聴チャレンジ中ですよね。

ギュウゾウ:僕の怠慢もあり、これまでYouTubeチャンネルをうまく活用できてなくて、登録者数がたったの500人しかいなかったんですよね。で、登録者数が1000人になるとライブ配信ができるようになるので、Twitterでアイドルファンの皆さんにチャンネルを覗いてくださいってお願いしたら、ありがたいことに面白がって登録してくれる方がたくさんいて…今1700人までいったかな?そこからさらに収益化を実施するためには4000時間の再生数が必要らしく、そこも全然足りてない、あと1900時間足らないんだっけ。
杉山:今の段階で残り1400になりましたね。
ギュウゾウ:500時間減ったじゃないですか!
杉山:ここから増やすのが大変ですけどね(笑)。
ギュウゾウ:それをやったからって何をするというわけではなく、それも、表現を実行する上での武器として持っておきたいんです。さっきも言ったけど、一つに集中するのは危険だと思ってるんです、肌感覚で。こっちが難しいならこっちの手もあるというものを持っておきたい。だから4000時間クリアして、こっちでもできるぞというようにはしておきたい。
ユーチューバーになるつもりなの?という声もあったけどそうじゃない。もしかしたら今後YouTubeライブですごい画期的な、ものすごく面白い配信方法が出た時にクリアしてなかったら使えないってなるじゃないですか。それが嫌なので。まあ、再生時間ノルマのクリアは長い旅にはなると思うけど(笑)。
田中:YouTubeのチャットだとコメントが拾えるじゃないですか。そうするとみんなと会話してる感じがめっちゃ出る。それでまた話がどんどん広がって、見てても面白いなって。逆にあれはニコ生さんだと出せない雰囲気だと思うんで。だから確かに武器をたくさん持つっていうのは正解だなーと思います。

■過去にアップしたYouTube動画についてのツイートも増えてますけど、今後、今まで非公開だったものの公開も予定されていますか。

ギュウゾウ:そうしたいなとは思ってるんですけど、いまはエンターテイメント界隈がほとんど動けない状況でして、編集をしてくださる方の労力に見合う対価がだせるかな…というのもあるのでまだ未定です。
僕的には4月5日のも、フロアの後ろから撮っている引きの映像も公開したいとは思っているんです。配信された画のカメラワークも良かったんですけど、レーザー光線の演出は引きでこそ映えるというのはありますからね。出演者の可愛い表情をアップでたくさん見たいという人もいると思うけど、全体的にぐわーっとなってるクレイジーなステージの絵面こそがギュウ農フェスの醍醐味だと思っているので、そこは我慢してもらって(笑)。携わるスタッフの負担が少なく、かつ、ファンの皆さんに喜んでもらえる映像ができあがったら公開したいなと思っています。

■今後についても既にいろいろ発表されています。中でも8月10日「ギュウ農フェス夏のSP 2020」の発表は他の追随を許さないギュウ農フェスらしいところですが、現状どうですか。

ギュウゾウ:スタッフの田中さんにはもっと考えてやれってよく怒られるんですけど、僕は思いついたらパッと動きだしちゃうんです(笑)。8月10日はギュウ農フェスが開催されるから、と他のイベンターさんがその日は(イベント開催を)回避してくれたら良いなぁって言うのもあります(笑)。
現在、イベント開催については、政府や自治体の方針を鑑みながら前向きに進めています。8月10日ごろには、たくさんの音楽イベントが動き出していると予想しているのですが、こればかりはその時にどんな社会情勢となっているかを読み切れないのでね。やれること、考えられることを積み重ねて開催準備はしていきますが、緊急事態宣言解除後すぐに3000人集まるイベントができるのかと言ったら、それはかなりの密が生まれる環境であると考えられますし、簡単に「さあやるぞ!」とはいかないでしょうね。

配信ライブの可能性

ギュウゾウ:前回と全く同じやり方の配信だと、あまりにも赤字額が大きいので、工夫をしないと難しいかもしれませんね。例えば全編有料配信にするとか、音響・照明はそのままに人気どころのワンマンライブを間に挟むとか、タイムテーブルの中に魅力的なコラボを入れるとか。配信をするとしても、ソーシャルディスタンスへの配慮をした上で少人数でもお客さんを入れてイベントをしたいですね。ドライブインシアターフェスみたいなことも可能性ゼロではないと思ってるし。

他には、東京の大会場をメイン会場にしつつ、同時進行的に、北海道で、青森で、栃木で、名古屋で、大阪で、新潟で、広島で、九州で…と、全国のライブ会場をつないだ無観客配信フェスもできるはず。この発想は、故内田裕也さんのNEW YEARS WORLD ROCK FESTIVALからなんですけどね(笑)。メイン会場の「おーい青森、そっちはどうだい」を受けて、現場の配信コメントを読み上げながら「青森のりんご娘です、こっちは大盛り上がりですよ」なんてのを全国を舞台に…いっそ、韓国や台湾や香港やタイも同時進行での配信フェス、できないですかね。そういうのはまだ誰もやってないと思うんですよね。

■ドライブインシアター形式のライブについてはツイートもされてますよね。

ギュウゾウ:それについては田中さんが一家言あるそうで。
田中:いや、ないですけど(笑)やろうと思えばやれると思うんですよ。でも最前管理(*最前列を陣取るファン)が出ますよっていう。
ギュウゾウ:渋滞とかおきるのかな(笑)。

■無観客ライブでも最前列チケットを販売しているところもありました(*「<アイドルとライブ>『COVID-19(新型コロナウイルス感染症)とライブに関する調査』について」より)。

田中:これは上手くいくいかない、というのも後々出てくるでしょうね。いろいろ(配信ライブを)見ていると、あれはYouTubeライブの方がいいだろうなとか、あれはニコ生じゃ面白味がないんだろうなとか、見入っちゃうようなライブはコメントがなくていいなとか。その辺、切り分けができてくると、それぞれ面白いことやれそうだなと。
杉山:配信については皆さん苦労しているところというか。例えばYouTubeの登録者が足りないとか、再生数が足りなくて収益化できないとかも実際あるみたいです。

ギュウゾウ:体力があるところとそうでないところの差は広がっていく一方かも。もう、ただ無観客でライブをやり続けていくのもキツいですよ。戦略もなくやってもしょうがないし、変わったことだとしても同じこと何度できる?っていう。だから予算的なものをなんとかクリアできるなら、ギュウ農フェスが4月5日並の照明や音響、カメラマンを提供して、活動資金が不足しているグループでも良いチームはたくさんあるので、期間限定でもユニオン的な互助システムでアイドル文化の火を消さない動きがあっても良いなと思います。YouTubeの収益化もユニオン内のチャンネルでやればよいし。単独ではできないことでも集まればやれることはたくさんある。

またユニオンとは別の話で、これは音楽ファンの皆さんがライブの有料配信をどこまで受け入れてくださるかも重要ですが、音楽イベントの配信が当たり前になって、感染に対する安全も確保できるようになったら、広告やスポンサーもついてくると思うんです。イベント内でCMが流れたりとか、地上波のテレビ番組っぽくなりますが。そこらへんは、お客さんが入ってのイベントも同様の動きになるだろうと考えています。しばらくは入場者数を制限しなくてはいけないだろうから。アイドルを魅力的に見せる演出についてもテレビ的手法はまだまだ有効であると考えています。

■テレビ的な手法も今後重宝されていくということでしょうか。

ギュウゾウ:TV屋さんにはまだまだ強い演出力があります。テレビに出ているタレントの力量が高いのもありますが。(テレビの)スタジオライブは現場にスタッフさんしかいなくてもアーティストの表現力が高いので素晴らしいパフォーマンスを見られる、見る価値がある。同じ土俵で演っても勝負にならないから、ライブアイドルならではの魅力的なコンテンツ、魅力的なタレントを育てていかなくてはいけないと思います。

■LINEもスタートしました。その狙いはなんでしょう。

ギュウゾウ:これも、表現を実行する上での武器はいっぱい持っておきたいなっていうところです。

■今の思いをお聞かせください。

ギュウゾウ:今月(*5月)いっぱいは自粛だと思うので…8月10日何かやるぞ!という姿勢は見せていきたい。4月4、5日の合言葉は「春は必ず来る」だったんです。でも春が来る前に夏が来ちゃうんで「夏のSP2020」を。今まで夏にSPやったことはないんですけど、開催したいですね。そこに至るまでにいろんなことを考えて、悩んで、皆で良いものが作れたらいいなと思います。

■これからの動きも楽しみです。

ギュウゾウ:ギュウ農フェスはインディー団体であり、業界の風雲児になりたいと思っています。そして、大手のイベントさんにはどんどん活発に動いて欲しい、向こうが頑張れば頑張るほど、僕らが下品にやることが活きてくるし(笑)。
田中:大手のところはまだ(イベントを)やるってはっきり言ってないじゃないですか。ギュウ農だけになっちゃって、僕らが本流になっちゃう。それは困りますね…。
ギュウゾウ:困るんです、それはダメなんです!王道がきちっとやってくれるから僕らみたいな変なのの存在意義があるんです。

公式HP
https://gyunoufes.com/

Twitter
https://twitter.com/gyuno_fes