文責:日高良祐
取材日:2020年5月4日(月)
秋葉原MOGRAのステージPAを担当している竹山慧は、フリーランスPAとしてその仕事を請け負っている。もともとはMOGRAスタッフの1人として業務を行なってきたが、MOGRAが2019年5月にディアステージから独立・法人化したことをきっかけに、フリーランスとしての活動に移行したという。オープン当初からネット配信に力を入れてきたMOGRAの裏方として、竹山は配信事業に関する独自のノウハウを持った人物でもある。
新型コロナウイルス感染拡大の状況を受け、MOGRAは3月28日からクラブ営業を休止した。その他のハコも営業休止を発表するなか、竹山のフリーランスPAとしての業務はすべてストップした状態にある。以下では、フリーランスPA業務への新型コロナウイルス感染拡大の具体的な影響や、クラブ営業の休止が広がる一方で拡大するネット配信営業に対する考えについて、聞き取りを行なった内容を報告する。
フリーランス/個人事業主としてのPA事業
■MOGRAは営業時のPA業務を竹山さんに外注しているということですが、どういった経緯でMOGRAとの仕事が始まったのでしょうか。もともと竹山さんもスタッフとして働いていたとMOGRA店長の山田将行さんからは聞いています。
竹山慧(以下、竹山):実はMOGRAオープン前の話し合いからぼくはすでにいたんですよ。もともと山田とは15歳16歳くらいからの付き合いで、スケートボードを一緒にやっていた仲で。ぼくと山田が二十歳くらいに、ちょうど彼がDJをやっていたりするタイミングで、ディアステージからお店をやらないか?という話がきたと思うんですね。今ぼくはフリーランスでPAをやってるんですけど、もともとそういう学校に行っていたわけではなく、美容学校だったんですよ。その後いろいろあって無職の時代を過ごしていて。MOGRAがオープンする前のタイミングで、一緒に働かないかって山田が言ってくれて。そこからMOGRAで働き始めたという感じです。
MOGRAオープン当初は、お酒も知らなかったし、音響についても高校の頃に少しバンドをやっていただけで全く知らなくて。そこからMOGRAをまわすために全てのことを覚えていきました。山田がアーティストとしていろいろDJ出演をしているので、店にいない時間が多かったんですよ。最終的には、彼がいない間にぼくが代わりに店の責任者として立っていたり。気がついたら店舗をまわす作業については、ぼくがやっていた感じですかね。スタッフの管理もして、飲料メーカーさんと打ち合わせをしたりとか。イベント企画以外についてはほぼ全てやっていましたかね。
■山田さんからも、竹山さんは副店長的な役割だったと聞きました。その一方でMOGRAのPAとしても働いてきたわけですが、PAに関する技術はどこで学んだのでしょうか。
竹山:他のお店で教わったとかもとくになく、ひたすら自分で。平日の夜に小さい音量で確認したり、週末の営業していない日にずーっといじって勉強していた感じですね。これにはきっかけがあって。早稲田の茶箱の岡田さんの影響があって。MOGRAがオープンして1年たたないくらい、いろいろあって警察が来ちゃったりとかの事件があったタイミングの後に、岡田さんがMOGRAのチューニングに来るという話を山田から聞いて。平日の夜中だったんですけど、そういう現場ってなかなか立ち会えないじゃないですか、チューニングとか。それで、ぼくも聞いてみようかなと思って、なんとなくその場に居合わせてみて。それで岡田さんがチューニングをしている間に、もう本当にどんどん音が良くなっていって。その時に、わあ、すごいってなって、やっぱり大事なんだなって。そこから自分でも覚えてみようというので始めたのがターニングポイントですかね。あの当時はPAが入る、スピーカーのチューニングをするという概念がMOGRAにはなかったんで。あの時の音の変わり方は今でも本当に覚えてますね。こんなに変わるんだなっていう感覚で、これは本当にすごいと。なんか馬鹿みたいな感想なんですけど(笑)。これ岡田さんにも話したことないんで、ちょっと恥ずかしいですね。
■MOGRAが2019年5月に法人化したタイミングで、竹山さんは個人事業主化してPA業務を外注される関係に変わりました。どういった計画があったのでしょうか。
竹山:ディアステージから独立するという話があったタイミングで、山田といろいろ話していて。いつぐらいかな、あの時はけっこうバタバタしていたのでなかなか思い出せないんですけど。ぼくも最初はMOGRAにそのまま入れるのかな、山田が法人化するならまた手伝おうかなという感覚でいたんですよ。でも、どこかのタイミングで、俺は雇わないよと山田から言われてしまって。え、なんでだろう?と思ったんですけど、よくよく2人で話し合った結果、もともと付き合いが長くてある意味では友達といえば友達じゃないですか。そのまま一緒に会社をやった時にデメリットの方が大きいんじゃないかという話になりまして。かつ、今までディアステージという会社があってお互い雇われた上での営業ができていたけど、彼が社長になりぼくがその雇われになった時の弊害というか、そういうのはよくないんじゃないかという話があって。今後も一緒に仕事をしていく上でそういうのを考えると、独立してくれた方がいいという考えを言ってくれて。たしかにな、というので独立した形です。
■フリーランスPAとして働くメリットにはどういうものがあるのでしょうか。MOGRA以外のハコでも働けることなどあると思いますが、何店舗くらいで仕事を受けていますか。
竹山:ぼくにとっては経験値がもらえるのですごくメリットでしたね。独立するタイミングでいろいろな人に相談して、Music Unity 2020 #MU2020(※秋葉原MOGRAが企画運営するオンラインストリーミングフェス)にも参加していたCIRCUS Tokyoさんとかを紹介していただいて。そんなに回数は多くないですけどPAさせてもらって。やっぱり違う環境でPAできるというので、そこから理解が深まるというのはメリットだと感じます。現状ですと他には、MOGRAと同じ秋葉原にあるこちらもMU2020に参加されていたエンタスさんだったり、川崎にある月あかり夢てらすさんとか。あとはアイドル事務所の方から依頼が来たらインストアライブにも入る感じ。現状だとぼくの仕事はそれだけですかね。
■個人事業主化してからもMOGRAのPAは竹山さんが担当しているのでしょうか。
竹山:基本的にはMOGRAにいて、今MOGRAのPAアルバイトスタッフが1人いるので、アルバイトの子が入れるんであれば、その間にぼくは他のお店さんにPA行ったりとかです。
フリーランスPA業務への新型コロナウイルス感染拡大の影響
■新型コロナウイルス感染拡大を受けて、MOGRAでも1月2月くらいからイベントキャンセルが出ていたと聞いています。仕事量の変化について聞かせてもらえますか。
竹山:コロナというワードが上がってきたのがだいたい1月後半くらい。月あかり夢てらすさんの改装を手伝っている時にそういうお話をしていて。どうなるかねーっていうのから、やっぱり2月半ばくらいから平日に受けていた仕事がなくなり始めました。2月後半くらいからMOGRAのイベントもなくなってきていたんですかね。それで、3月にはMOGRA以外の仕事は全部キャンセルになっちゃって。最終的に、3月後半にMOGRAが閉めることになったタイミングで、ぼくが今お世話になっているお店さんも閉めざるを得ない状況に同時になってしまって。そこからもうほぼ仕事無い感じですかね。ほぼというよりかもう、MOGRA閉めた時点でぼくはもう今ずっと自宅待機です。稼働してないんで。3月の請求が振り込まれた時点で全ての収入がストップという感じですね。
■金銭的にはどれくらい耐えられる状況なのでしょうか。
竹山:フリーランス、個人事業主でやるとなったタイミングで、どんな状況であれ絶対に収入が絶たれるタイミングがあるだろうなとは思っていたんですよ。仕事が来ないとか、結局は自分の体で稼ぐ仕事なので体調を崩しちゃって仕事入れないとか。それこそ入院しちゃったりしたらまずいなというのを、独立する前にいろいろ考えていて。それで、独立したタイミングで、まず何があっても最低限1年は生活できる貯金をしておこうというので、お金を貯めていた。現状はもうそこを食い潰していく感じになるのかな。去年1年はおかげさまで余裕を持てていたんで、ずっと貯金していて。どんな時でも耐えられるようにはしていました。
■メインの収入が止まっている状況ですが、他の収入を探るような対応策は検討していますか。
竹山:コロナで営業休止しますよという話のタイミングから、ずっといろいろ考えていたんですけど、現状とくに思い浮かんでなくて。うーん、なかなか難しいですね。ぼく自身、お金を生みだすことをするのが苦手なんで。考えが思いついたとしても、それをどうお金にするのかというのがすごく苦手で。なので、まだ考えている時期だというのと、もしこれいけるんじゃないかなと思ったら協力してもらえそうな人に相談しようかなという感じですかね。
■ここ1ヶ月くらいで具体的に困っていることはなんでしょうか。
竹山:全く仕事をしてない状況が本当に一番困ってる。というのと、先のことを見ちゃうと、いつ(緊急事態宣言が)解除されるのかとか、いつお店が開けられるのかと考えると、お金的な意味でもどんどんすり減っていくので。そこの部分で困っていくのかなという感じです。
■MOGRAが休業に入ったタイミングでは、元に戻る見通しはどう考えていたんですか。
竹山:みんなと話していてもそれぞれ時期がバラバラだったりはするんですけど、ぼく個人としては長くて1年はこういう状況になるのかなと。もし開けられたとしても、今まで通りには開けられないだろうなと思うので。本当にいつまで続くのかなという感じですね。
■MOGRA以外のハコではどういったPAのお仕事をされているのでしょうか。現在の状況でどのように連絡を取っていますか。
竹山:休業するような状況でぼくから連絡を取るのも申し訳ないと思ってしまって、最初のうちはあまり連絡を取ってなかったんですよ。エンタスさんについては毎月定期的にお店にうかがいますというお話をしていたので、4月からについては「お店開けられる状況ではないと思うので、かつお忙しいと思うので、営業が決まった時にご連絡ください」という連絡をしています。
CIRCUS Tokyoさんはもともと連絡が来て単発で受けるという状況でした。ただ、CIRCUS Tokyoさんの場合だとMU2020のこととかもあって、配信とかを今までしたことなかったので、そういう相談を受けたりとかもしている状況ですかね。
クラブ営業自粛下でのネット配信営業の問題と提案
■竹山さんはMOGRAに長らく所属していたこともあり、配信に関するノウハウを持っていると聞いています。他のハコでは配信関連の仕事も受けているのでしょうか。
竹山:そうですね。ただ、これに関してはお金にはなっていないので難しい部分がありますね。個人的に難しいと思っているのが、実際のところ配信の技術自体は調べれば誰でもできる状況なんですよ。たぶんそういう配信ソフトの使い方とかにぼくより詳しい方はざらにいると思うので。現状そこに関しては、収入にはならない、仕事にはならないと思っていて。そこで付加価値をつけるとすれば、お店さんが配信することに対してのブランディングの部分。そういうところで困っていれば手助けができるのかなという感じですね。
■配信のセッティングをしに行くというよりは、ハコでの配信イベントを企画する際のパッケージのつくりかたなどをアドバイスするということでしょうか。
竹山:そういうのも細かいところで相談はできるのかなと。休業が続いている時期なので配信が増えていると思うんですが、勘違いしてるところが多くて。配信やればお金が入ると思っているところが多いと思うんです。配信さえやれば人が見てくれる、簡単にビューワーが増やせると思っているところが多くあるように感じていて。ただ配信するだけのところがすごく多いと思うんですね。でも、ただ配信するだけだと何がおもしろいんだろうという感じがあります。配信を家で聞く環境ってパソコンのスピーカーだったり小さいスピーカーだったり、大した環境で聞けるわけじゃないですよね。それをわかった上で配信をしてるのかな?という感じです。
■配信を聞くユーザーの環境の違いについては今後もっと問題になりそうですね。配信の聞き方のようなものが共有された客層のついているハコと、そうではないところの区別の問題などでしょうか。配信は簡単にお金にならないということですが、そういった問題の解決策はあるのでしょうか。
竹山:やっぱり新しく配信をするのは新規事業になってくる。秋葉原MOGRAは昔から配信を常にやっていて。結局、アニメとかネットカルチャーという部分があって、インターネットに近い文化のなかで配信をしていたので、ある程度やりやすい部分があったと思うんです。でも、ダンスミュージックしか扱っていないお店が、新しくアカウントを作りました、1ヶ月もたってません、かつTwitchとかYouTubeとかの配信プラットフォームのうちのどこでやるのかという話はすごく難しい話でもありますし。
今から配信やろうと思っているお店さんは、今までもお店に来てくれていた人に向けてしか配信をしようとしていないんじゃないかなというのが一番の問題で。Twitchとかでのイベント配信とか、個人でのDJも増えてはいるんですけど。そういった配信を見ている限りだと、そのお店のことを知っている人に向けてしかDJ配信をしていない気がして。もちろん大事なことだとは思うんですが、それぞれのプラットフォームに合った配信の仕方をできていないんじゃないのかなというのが一番気になるところですね。やっぱりそのプラットフォームにいる人たちにも向けても配信をするのが大事なんじゃないかなと。
■代替案としてネット配信を始めるという発想だと、どうしても今までの現場のクラブのネット版が想像されるのかと思います。そうではなく、それぞれのプラットフォームに合わせた作法のようなものというか、特定のプラットフォームでの動き方を考える必要があるということでしょうか。そういう「配信に対する見方」のような提案について他のハコと話をすることもあるのでしょうか。
竹山:.なんとなくお話しをしたくらいですかね。現状の配信を見ている限りだと、「インターネットに強い人」という言い方も変ですけど、インターネットに強いDJさんが出ていると配信が伸びていたりするじゃないですか。それこそMOGRAの山田だったり、livetuneのkzさんだったり。彼らが配信に出ると、一気にビューワーが増えてコメントも増えていたりするじゃないですか。やっぱりインターネット配信をする上で一番大事なのが、インターネット上でのパーソナリティーが見える人だったり。
DJ配信するだけだと、ビューワーが伸びづらい。でも、お店の名物店員さんっていると思うんですよ、そういう人を前面に出した上での配信をした方がいいのでは、というお話はしています。やっぱりパーソナルな部分が見えてくると、ただDJ配信するよりかおもしろいじゃないですか。ただ、それをどうDJとからめていくのかというのが一番の問題点なんですけれども(笑)。そういうのも含めて配信は難しいのかなという感じですかね。
■そういった配信をする上での振る舞い方などの話はこれまで十分に考えられてこなかったのかもしれないですね。そういうアドバイスも含めて、竹山さんとしては配信事業を広めていこうと考えているのでしょうか。
竹山:配信すればお金が入る、投げ銭がくるとか、とりあえず他のお店も配信してるから配信しよう、みたいなところがすごく多いと思うんです。実際、配信をやりたいのであれば、ぼくはやった方がいいと思うんですよ。実際にやった上でのメリットの方が大きいと思うのでやった方がいいとは思うんです。でも、やればお金が入るわけではないよという。お店をオープンした最初の時と一緒で、インターネット上でやったからといってすぐに人が聞きに来るわけではないから。そこをどう作っていくのかを考えながらやるべきではないかなというのは、相談が来たら提案したいですね。
今の時期にお店さんが配信することで、自粛が解除されたタイミングに対してのアプローチもすごくできると思うんです。あのお店の配信がすごくおもしろい、このお店行ったことないから行ってみよう、という感覚にもなれるはずなので。配信しない方がいいというわけではないです。ただ、もうちょっと先のことを考えた上で動いてくれた方がぼくはうれしいかなという感覚です。クラブに行ったことのない人がフラッと配信に来ることもあると思うので。そういう人たちのことも大事にしてほしいという感じですかね。そういう人たちをお店に来させるような工夫があったりしたらいいのかな。
新型コロナウイルス感染拡大以降の見通しと助成利用の検討
■今後の見通しについて聞かせてください。休業状態が終わった後、個人事業主としての仕事をどう展開していくかなどの計画はあるのでしょうか。
竹山:コロナ騒動の前、実は事業を展開しようと思ったりしていて。それがいったんこの騒動のおかげでなくなってしまったので、またそれに向けて動ければいいかなと。(コロナ騒動が)明けて、コロナ騒動前の仕事を今まで通りやりつつ、やりたかったことをまた再開できればいいかなという感じですかね。
■新しい次の展開をいろいろと考えていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でそれらもストップしている状態だということですね。
竹山:そこは本当に悔しいですね。騒動が落ち着いて仕事もできる状況になったらまた改めて進めて行きたいです。
■新しい事業やこれまでの事業の維持のために利用可能な助成制度が始まっています。そういった制度は積極的に使っていますか。
竹山:ぼくの事業に関してはとくに維持するものがないっていえばいいんですかね。事務所を持っているわけでもなく、維持するものもとくにない。政策金融公庫からお金を借りようかと一度は考えたりしたんですけど、結局は借金だなというのがあるので。そういう制度については、現状では持続化給付金を申請するくらいでいます。結局、政策金融公庫からお金を借りたとしても、現状ではお金を稼げる状況ではないし、維持するものがないので借りてもしょうがないかなというのがあって。
そうなると、ぼくの生活費についての話になってしまうんですけど、先に話したみたいに、最悪何があっても生活できる最低限の資金は蓄えようという考えで去年1年は動いていたので。今それをすり潰せば最悪生活はできるから問題はない。それプラス、本当にありがたいのが持続化給付金。それさえ申請できればある程度心配はないのかなというので、他にとくには申請しようとは思ってないという感じですかね。(出るお金が)圧倒的に少ないとは思うので。そこまで深く考えてないって言い方も変ですけど(笑)、とくに難しくは考えてないという感じですかね。
ライブハウスバッシングをめぐる報道の問題
■3月頃からライブハウスに対するバッシングが盛んに報道されていました。また最近では「無観客配信」に対するバッシングもあるようです。そういった状況について周りから何か見聞きしていることはありますか。
竹山:ぼくの身の周りでバッシングはないとは思うんですよ。とくに何か言われたということはないので、変な感覚ではいるんですけど。こういうバッシングが起こるのって、メディアの報道の仕方だったり、権力を持った方が名指しでライブハウス、クラブに行くなと言ってしまったこともあるのかなと思っていて。コロナの感染初期段階の状況でそういうことになってしまったのが、一番の原因なのかなとは思っていますね。
これに関しては、正直どこの業界でも起き得たことだとも思います。それこそ、(クラブやライブハウスのような)こういう娯楽施設ではなくて、もし通勤電車で集団感染が起こりましたとなっていたら、そこが第一にバッシングを受けていたと思うので。みんなはどうして?みたいなことを言っていますけど、正直仕方がないのかなという感じでしょうか。これは難しいところですよね。報道の仕方だったり、そういう発言の仕方だったり。状況なりなのかなって。やっぱりライブハウスだったりクラブは、三密と言われるところがすぐに想像できてしまうというのもあってのことなのかな。あとは、なおさら行ったことない人からしたら、というのもあるのかなと。
■そういった状況に対して活動しているSaveOurSpaceのような運動についてはどう考えていますか。3月半ばには署名活動を始めたりしています。
竹山:いちおう確認してはいるんですけど。どうなんですかね。みんなでそういう場所を守ろうという考えについては、ぼくもすごく賛同しているし本当にありがたいと思ってはいたんですよ。ただ、そうですね、ぼくは実は署名をしていなくて、どういう動きをするのか様子を見てからにしようと思って。でも、今は署名をしなくて良かったかなと。
■SaveOurSpaceはハコを守ろうという動きから始まりました。音響やPAまわりにもそういった団体や動きはあるのでしょうか。
竹山:あるんですかね。そういう団体があるかどうかぼくはわからないですね。ぼく自身がそういうPA会社で働いていたわけではなく、PAさんとのネットワークはほとんど持っていないので。変な話なんですけど(笑)。なので、そういうのがあるという話は今はとくに聞いていないですね。もしそういうところが出てきてくれるのであれば、どういうことをしているのか気になって見るとは思いますね。ただ、賛同するかどうかとか、署名があったらどうするかは、ちょっと状況を見てからになるとは思いますね。
身の周りの業種での新型コロナウイルス感染拡大によるダメージ
■音楽関係以外の業種も含めた竹山さんの身の周りや知り合いで、新型コロナウイルス感染拡大の影響で困っているという話を聞いていますか。
竹山:もともと美容学校に通っていたというのがあって、美容室を経営してたり働いている同期とかがちょっと悲観的なことをSNSに書いていたりします。美容業界とかファッション業界、どうなっているかはわからないですけど、個人的には気になっていますね。海外でお店を持っている同期もいるんですけど、やっぱり状況が良くはないというのを見たりしているので。ぼくはファッションとかの方がどういう状況なのか気になる感じです。お洒落していくところ自体がないんで。
■そういう意味では、音楽は配信することができるので、まだやれることがある方なのでしょうかね。
竹山:音楽やエンタメは発信さえできれば何かしらの形にはできるので。そこまで悲観しなくていい、という言い方は変ですけど、次に繋がる方法がまだ見つかってはいる。美容師さんって言ってしまえば濃厚接触じゃないですか、直接人に触るという。なので、訪問美容師をやったところでお客さんの心配はぬぐえないし、かといって電車に乗って街に出て美容師さんに切ってもらうという状況もあまり良いイメージではないと思いますし。そこらへんは心配かなと。
■竹山さんの立場から見ると、MOGRAは新型コロナウイルス感染拡大の状況化でどのように見えていますか。うまくやっているように見えるのか、そうではないのか。
竹山:どちらにも捉えられますね。やっぱりお店開けてなんぼだと思うので。ただ正直言っちゃうと、山田だから心配していない、という言い方はしちゃいますね。彼は本当にいつもうまいことやってくれるタイプの人なので。どんな状況でも絶対にどうにでもできると思っているので。彼がいることと今MOGRAを回しているスタッフがいることでMOGRAは心配はしていない、という言い方が正しいんですかね。
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