2020年4月9日~16日の間、オンライン上で実施した上記調査の集計結果を掲載する。
調査対象は「音楽に仕事として関わる個人」で、有効回答数は895件。何よりも短い期間で、900近い人が回答してくれたことに事態の深刻さが窺える。今回は第一弾速報版として、数字などを中心にデータのみを掲載する。後日、自由回答を含めたより詳細な分析版を掲載する予定。調査に参加していただいた方にはこの場を借りて感謝を表したい。
調査者：宮坂遼太郎（東京藝術大学大学院）
■回答者の年齢
一番多い年齢層は、40代。30代～40代で過半数を超える。
40代:27.8% (249件)
30代:25.1% (225件)
50代:25.6% (225件)
20代:10.9% (98件)
60代:9.8% (88件)
70代:0.6% (5件)
10代:0.1% (1件)
■回答者の性別
男性:70.5% (629件)
女性:29% (259件)
その他:0.3%(4件)
無回答:0.2%(3件)
■(自由回答)回答者が主な拠点とする地域
東京:395件
関東(東京以外):99件
関西:98件
地方横断、全国など:52件
東海:42件
九州:30件
中国・四国:27件
沖縄:15件
北陸・甲信越:13件
東北:12件
北海道:10件
海外:4件
■回答者の業種と業態
ミュージシャン/音響/レコード会社員/公共文化施設管理者/等飲食店 ライブスペース 地域振興団体/自身が代表作曲家で音楽制作会社経営/音楽系webメディア運営/音楽ライター/音楽コラムニスト/フェス主催、キッチンカー運営/中古レコード店経営/レコードレーベル/レコーディングエンジニア/ミキシングエンジニア/DTM作曲家/県立音大、県立音高各非常勤講師/ジャズミュージシャン/バンド/ライブバーオーナー音楽学博士後期課程/個人ならびに楽器店から依頼されてのギター教室と定時制高校の音楽部での部活指導(外部指導員)/大学教員（音楽教育）/イベンター/演奏会広報関連/レコーディングスタジオ経営/声楽家/合唱指揮者/和太鼓奏者/ピアノ調律音響技術制作請負い/マニピュレーター/舞台ホール管理 /事務所代表/バイオリニスト、ナレーター/照明デザイン施工/某プロオケ所属/楽器レンタル/ヴォイスオーバー/コンサートプロモーター/DJ/電飾/劇場管理運営/ヤマハ音楽教室キーボード科講師/ローディー/VJ,映像作家/楽器メーカー会社員/カメラマン/フリーランステレビプロデューサー/イベント会社経営バンドマン/ドラムレッスン講師ジャズレストラン/MV映像制作会社/ワードローブ(衣装管理)/音楽出版社/マネージャー/キーボーディスト/プロダクションとゴスペルシンガーとミュージカル俳優/イベントディレクション/会場プロデュース/Sax奏者/小屋照明管理/オーケストラ契約団員/講師業/ボイストレーナードラムテック/ドラマー/コンサートスタッフ/ピアノ教室主宰大道具/特殊効果/ライブハウス経営/現場設営/音響会社代表/映像 /音楽マネジメント/パーカッショニスト/新日本フィル/フラの指導/製造業/ライブレストラン勤務/楽器テクニシャン/写真・動画撮影/音楽関係デザイン/伴奏ピアニスト/トランペット奏者/飲食店経営/CM音楽制作/作編曲家/電子楽器、オーケストラスタッフ/ピアニスト/演出/作詞家/ライブハウス管理/音楽制作/ライブハウス勤務/舞台照明/社会人兼ミュージシャン/NPO法人/介護福祉士/音楽制作会社/綜合舞台/音響エンジニア/レコーディングエンジニア/音楽教室/ライター/プランナー/PAプロデューサー/アレンジャー/音響技術/シンガーソングライター/ミュージシャン舞台制作 法人代表/音楽教育/音楽講師/音楽家/舞台監督 /ゲームサウンドクリエイター/サウンドエンジニア
…多岐に渡りすぎたため、業種のみ概述。重複するものはなるべく消したが、回答者の意図を汲むべく意図的に細かい差異を残した。
■今回COVID-19の流行による自粛要請などの結果、3,4,5月分の「仕事の数」はどのくらい影響を受けたか
全体回答者のうち86.6%が、仕事の7割以上がなくなったと回答。全てなくなった人が43.1％
・決まっていた仕事がほとんど(７〜９)割なくなった。
43.5% (389件)
・決まっていた仕事が全てなくなった。
43.1% (386件)
→全体回答者のうち86.6%が、仕事の7割以上がなくなったと回答。
・決まっていた仕事のうち半分ほど(４〜６割ほど)なくなった。
6.1% (56件)
・決まっていた仕事が少し(１〜３割ほど)なくなった。
5.3% (47件)
・全く影響を受けなかった
1.7% (15件)
・むしろ仕事が増えた0.3% (3件)
…コロナウィルスのせいで仕事が増えたという人はいなく、コロナとは関係なく偶然仕事が増えた模様。仕事が増えても収入が減った人や、「現状は困っていないが、利用料収入の減収で、この後のことは心配」(会場所属、40代)という声があった。
●同上の影響で、3,4,5月分の仕事による収入への影響は今のところどれほどあったか
・見込みよりも約9割減(ほぼ収入ゼロ)。
35.1% (314件)
・見込みよりも10割減。
19.4% (174件)
・見込みよりも約７〜８割減。
18.1% (162件)
→ほぼ、もしくは全ての収入がなくなってしまった人は全体の54.5%。7割以上減は全体の70%超。
・見込みよりも約３〜４割減。
7.7% (69件)
・見込みよりも約５〜６割減。
7.5% (67件)
・影響は全くなかった(会社から給料が出ている場合なども含む)。
7.5% (67件)
・見込みよりも１〜２割減。
4.2% (38件)
・むしろ収入は増えた。
0.5% (4件)
■「収入への影響」は、仕事の継続や生活にどのくらいの深刻度で関わってきているか(「この状況がいつ収束するかわからない」ということも踏まえての回答)
・困っている。
55.8% (499件)
・廃業レベルで困っている
30.7% (275件)
→86.5%の回答者が「困っている」と回答。全体のうち30.7%は、既に廃業レベルの損害を受けている。
・困るほどではない。
10.9% (98件)
・影響はないor収入増など
2.6%(23件)
→全体のうち影響をあまり受けていないのは1割強。
その具体的な理由については、「他に収入を得る先がある。兼業でやっているなど」が63件、「仕事量/収入がの減り幅がそもそも小さい」が34件。「会社所属のため補償が出る」「大学職員である」「家族の収入に頼ることができる」「在宅での受注方法がある」「貯蓄を崩している」「印税がある(印税は影響が少ない)」などの回答があった。
■(3,4,5月の仕事を中心に)もともと見込まれていた仕事数と収入→影響を受けての仕事数と収入の具体的な減少数や周辺事情
…多数の回答からなるべく業種、年齢、性別などがばらけるように選択したが、今回はごく一部の掲載にとどめる。分析版ではより多数の声を掲載できるようにする。
※特定を避けるため、一部編集を加えた。
・50代男性(関東) BARのオーナー兼DJ
「大小6つのイベントキャンセル100万円以上の損失」
「固定費などの支払いができない。存続の危機」
「補助ではなく支給でないと、結局借金返済のため後でキツくなる」
・20代女性 声楽家(フリーランス)
「声楽家としての仕事ももちろんですが、バイト(接客と結婚式の聖歌隊)の仕事も全てなくなりました」
「12月も一件キャンセルが出ました」
・40代男性(東京、ツアーで全国) 舞台監督(フリーランス)
「12本 70万くらいの収入見込みがゼロに」
「２月から無職になり、先が見えないので転職を考えています」
・40代男性(九州) 音響・照明・映像・イベント企画・制作会社代表
「3.4.5.6.7月で約2000万円ほどの仕事が無くなりました」
「会社として融資を受ける方向ですが、秋のイベント関係が無くなった場合今後どうしていくか模索中。社員は自宅待機としています。バイトに関しては契約を切りました」
・50代女性(東京)、マネジメント会社所属
「会社としては何千万単位。自分の収入がどうなるかは未定」
「リストラされると思います」
・50代男性(関東)、勤務先:レコーディングスタジオ
「3,4,5月で計約25件の仕事で大体80万円の収入見込み→計0件の仕事で大体0円の収入」「3密と叫ばれたらレコーディングという密室での仕事に改善があるわけが無い」
・30代女性(関西) 音楽家、音楽講師(フリーランス)
「3〜５月 演奏の仕事4件 約8万円→0円、指導の仕事約20万→0円」
「演奏活動をいつから再開できるか見当がつかない。開催したとしても集客に不安がある。指導は基本1対1の密室でのレッスンなので、厳しい状況。」
・30代男性(東京) 音響関係職(フリーランス)
(元々見込まれていた収入)
3月 Aミュージカル本番9日/30万円
4月 Bミュージカル本番21日/60万円
5月 Bミュージカル本番8日/25万円 Cイベント10日/40万円
合計3案件で約150万円
→中止で0円
3月については、4月のBミュージカルのRH 15日/20万円→10日/12万円
「基本的に長期ミュージカルの音響を担当しており、一本中止になると1ヶ月収入がなくなる。5月は収入なし。6月7月のミュージカルも中止が続くと収入なしが3ヶ月続き、フリーランスをやめて社員として雇用されないと厳しい状況。」
・40代女性(東京、その他全国で活動) ジャズミュージシャン(フリーランス)
「3ヶ月で演奏30本50万円ほどの収入見込みが、3月に2本しかできずその後全てキャンセル。収入は1万円のみ」
「2月から集客減が続き、3月にはキャンセルが増えていき、3月最終週は東京都内ジャズクラブはほぼ全滅。ジャズクラブは2、3月赤字に耐えて、4月休業となってしまったので、体力のないところはこれからばたばた締めていくと思います」
・30代男性(東京) 作曲家
「1件の大きな仕事(収入200万円ほど見込)が延期になったので7月まで0円の恐れ」
「家賃の支払いが最大の問題。引越しにも都内だと50〜80万円は必要なので不可能」
・50代男性(四国) 音響、照明(フリーランス)
「決まっていた仕事は全てなくなった。5月もほぼ中止決定、6月以降も中止が濃厚」
「他の仕事を探さざるを得ないです」
・50代女性(九州) ライブハウス経営
「3.4.5月で約42件 300万円見込みがゼロに」
「ライブハウスクラスターの件で緊急事態宣言からライブは勿論 バー営業すら営業困難。また偏見により、賃貸契約の不動産からも遠回しに出ていって欲しい感じ」
「とにかく家賃分と最低限の生活費が必要。ガス水道電気は現在止めている」
・60代男性(関東) 写真・動画撮影、音楽関係デザイン
「2〜4月で数件の仕事で大体十数万円の収入見込み→計0件の仕事で0円の収入」
「見通し全く立たず」
・50代男性 ミュージシャン(フリーランス)
「ライブ60本で200万円の予定がキャンセルで0円 録音もとびました、ギャラ合計20万円だったはず、これも0円」
「6月のライブ、2本キャンセルになりました。6月仕事がないとなると真っ暗闇です。」
・20代女性(東京) 音楽系webメディア運営(会社所属)
「ライブレポート4件(原稿代はなく、書いた時間分の時給(1.200円程度)がもらえるはずだった)→全部中止」
「元の給料が少ないので、1,2割でも減ると個人的にきつい。また、会社自体はなんとか持ち堪えそうだけど、中小規模のクラブやライブハウス、PAや照明会社や音楽スタジオなどが潰れてしまったら、日本の音楽産業そのものが潰れてしまうので、周りのことも他人事だと思えない。」
・30代男性(東海) YAMAHAドラム講師
「ライブ活動は全て無くなり、レッスンは学校休校になると無くなるので4月後半以降は未定です。今のところ2月末から3月末までレッスンは無くなり、一週間くらいだけ再開しましたがまた休講になりました。3月分の給料25万ほどの収入は無くなり、かわりにYAMAHAからお見舞金と言う事で20%が4月に振り込まれます。今後休講が続けば無収入になります」
「明日借り入れの手続きに市役所に行きますが、ゆくゆくは支給という形にして頂きたいなぁと思います。家族に短期間頼れたとしても、長期になってきたら家族同士でいつまでも優しく支え合えるものでは無いと思うので」
・50代男性(首都圏) ライター、音楽&映画プロデューサー、プランナー(フリーランス)
「イベントやインタビューなどの取材20本、雑誌やWEBやイベントの企画30本全てキャンセル。3ヶ月で100万弱がなしに。若干の印税や原稿報酬のみ」
「作業自体は企画書や原稿執筆で在宅ワークだが、クライアント自体がイベントやライブや上映や出版の中止、スポンサー自粛による当面の企画ペンディングなどにより、依頼の見込みが見えない」
・30代女性(関西) オーケストラ契約団員
決まっていた仕事がゼロに。
「コロナの影響で、バイトもできない。雇用や補償などしっかりとした受け皿が必要。社会的立場の弱い人間が真っ先に影響を受ける世の中はおかしい」
・40代男性(東京を拠点に日本国内で活動) バンド(メンバー4名が運営も兼任)
「通常ならば4〜6月の給料が基本25万(額面)x3の予定でしたが、12万x3になり、7月以降は現状が続くならゼロです」
「4月はメンバー同士で「集まる」こと自体が危険なので、一緒に演奏すらしていない。延期&中止にせざるを得ない4〜6月の公演の振替日程確保や各種設定と告知、また払戻の手続きを各地域のイベンターさんとやり取りするのが主な業務になってます」
・40代女性(東海) 照明 (フリーランス)
「約50本で100万～0本で0円」
「2月下旬より現状５月末までのキャンセルが決まっている。また６月からどうなるか」
・30代男性(東京) 多目的ホール・ライブハウス勤務
「現状は給料が出ていますが、今後の運営が危ぶまれています。5月末日で解散というか、収入が0になる可能性が出てきています」
「家賃だけでも何ヵ月か無くなれば、延命できるので、その間に色々と戦える可能性があります」
・30代男性(九州/東京) 音響(フリーランス)
「件数では30件を超えて中止。公共施設や民間のイベントスペースなどが閉館し、今後は確実に発注の電話すらゼロになります」
「2月からの自粛要請からどんどん悪化してます。従ってしまった正直者が先に倒れる寸前まで陥っているのが現状です。また、日本舞台音響家協会では、セーフティネット5号に音響が当てはまるところがないことが記載されており対象にならず、歯痒いところでもあります」
・40代男性(関東) ゲームサウンドクリエイター
見込みよりも約3〜４割減収。
「外注は全て消えますよ。大手ゲーム会社さん助けてください…BGM制作の依頼下さい〜」
・40代女性(西日本) 県立音大、県立音高各非常勤講師
「4月30万の見込み→0円」
「就業時間中を高校で過ごせば(教材研究という名目で)給料は発生すると言われたが、子供が保育園が休みで学校に行けないので、せめて自宅で教材研究という形にできないか(後ほどレポートを提出するなど)と相談したが認められなかった。結局無償で休むしかなかった。学校に通勤する事でコロナに罹患しても何の補償もない非常勤に対してあまりにも扱いが酷いと感じる。命を守るべき状況なのに公的機関は何を考えているのか。」
・40代男性(関西) 専業音楽家(フリーランス)
「３〜６月に予定していた仕事計３５本
その収入およそ計￥７１００００
→コロナおよび自粛要請での影響を受けた仕事数 計３５本
その予定収入 計￥７１００００」
「音楽での仕事はコンサート、ライブなど集客に関わるものは絶望的ですのでなるべく
録音などにシフトしていきたいと思ってますが、基本的に依頼メインの仕事のスタイルですのでそううまくはいきません。
今は音楽以外で少し得意だった木工などでこづかい程度の収入を得てますが、このやり方を今から広げていくのは到底無理だと思ってます」
・30代女性(関東) 兼業ダンスインストラクター(個人事業主)
「ダンスレッスン数万円がゼロに、兼業している接客業は仕事ゼロですが休業補償が出そうなので、10万程度でしょうか」
「もしミュージシャンやイベント関係、ダンサーなどにこれからも存在してほしいなら、雇用の維持と、自粛要請休業要請による仕事キャンセルは全て補償してほしい。
でなければ、政府の役人は一生音楽は聴かないの？子供にダンスや芸術系の習い事はさせないの？要らないんでしょ？と思ってしまう。」
・60代男性(首都圏) 楽器テクニシャン
「345月、120万見込みがゼロに」
「ライブハウスやホールでのコンサートが再開されなければどうしようも無い。とにかく危機的状況です」
・30代女性(九州) シンガー
「約25万がゼロに」「仕事は2月頃から減っていた。演奏で雇ってもらっていた、レストランやホテルも危機的」
「演奏するにしてもできる場所がない。配信はお金にするのは難しい。アルバイトにしても、いつ自粛が終わるか分からない状況で、雇ってくれるところがあるのかさえ分からない」
・50代男性(関西) ライブバーオーナー
「3,4,5月 計80件の仕事で大体160万円の収入→計約80件の仕事で大体2万円の収入」
「店が営業できても、お客様こなければ廃業」
・40代女性(東京、全国主要都市) 演奏家(フリーランス)、ナレーター(事務所所属)
「3.4.5月で計62件の仕事で大体140万円の収入見込みが59件中止
→3件の仕事、大体6万円の収入のみ」
「6月全てキャンセル、7月、8月は2件の仕事がまだ残っているが。キャンセルとならないか心配している。9月、10月、11月、12月は現在決まっていたものは全てキャンセルとなりました。」
・40代男性(関東) 照明業者
「1200万が200万」
「借金までして維持するべきか、会社を畳むべきか…」
・20代男性(首都圏) ライブレストラン勤務
仕事が全てなくなる。
「実際に5月以降も見通しが立たないからスケジュールも決められない」
「1日でも早い給付金が必要。5/6で緊急事態宣言が終わったとしても、ライブ産業はしばらくは元には戻らないから持続的な給付金を求める」
・40代女性(東京) サウンドエンジニア(フリーランス)
「25本から30本でだいたい100万から120万の仕事がゼロに」
「配信しか動けないのがもどかしく、何か違った動きができないかと。配信では仕事にならない職種の人もいるとおもうので」
・60代男性(東海) 舞台業務全般(音響照明道具) フリーランス
「計39件の現場で大体70万円の収入」
「介護の母親と共に餓死するしかないレベル。助成金に関しては条件無しで最低20万円を3カ月支給して貰わないと生活出来ない」
以上を速報阪とする。前述の通り大まかな情報のみの掲載であるが、非常に厳しい現状がみて取れる。今回掲載できなかった声やデータ、傾向分析などは随時更新予定。
